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第13話 樹さん

Author: 酔夫人
last update publish date: 2026-07-04 11:01:14

小春は窓から差し込む柔らかな朝日を浴びながら、部屋で静かに本を読んでいた。

前回よりもかなり読み進められたことに満足する。

身体はまだ本調子ではないものの、調子を取り戻していることが分かる。

  コンコン

「失礼いたします」

ノックの音がして、入ってきたのは橘だった。

「樹様がお見えです」

「え……?」

返事をする間もなく、開いた扉の向こうから樹が姿を現す。

「体調はどうだ」

低く落ち着いた声。

小春は本を閉じ、慌てて姿勢を正した。

「はい。だいぶ良くなりました。ありがとうございます、篠原社長」

樹は小さく頷いたものの、そのまま黙り込む。

何か考えるような沈黙のあと、静かに口を開いた。

「君に一つ、頼みがある」

「はい」

頼み。

ここにいるだけだったことに気まずさを覚えている小春には嬉しいことだった。

「なんでしょう、

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